思い込みは現実を変える?3つの心理学実験から読み解く引き寄せの法則
皆さん、こんにちは。
『思い込みが現実を変える』
皆さんはこの言葉を聞いて、どんな感想を持つでしょうか?
一般的には、「そんな思い込みを変えただけで、現実はそう簡単には変わらないよ…』っと、そう言った感想を持つ人も多いと思います。
う〜ん、果たしてどちらが正しいのでしょうか?
今回皆さんに紹介するお話は、『思い込みは本当に現実を変えるのか?』っと言うことをテーマにした、『思い込みは現実を変える?3つの心理学実験から読み解く引き寄せの法則』っと言うお話を紹介してみたいと思います。
興味がある方は、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
引き寄せの法則で願望を叶える一つのテクニック『望みが叶ったところを頭の中でイメージする』
引き寄せの法則や自己啓発などではよく、願望を叶える一つのテクニックとして、『望みが叶ったところを頭の中でイメージする』っと言う方法が使われたりすることがあります。
望みが叶ったイメージを頭の中で繰り返すことで、まだ現実的には望みが叶っていないのだけれども、気持ち的には既に叶ったと言う気分や感情を感じることができるようになります。

つまり、『望みが既に叶ったと思い込んでいる状態』になると言うことです。
そして、『望みが既に叶った状態』(叶ったと思い込んでいる状態)になると、願いを叶えるために必要な行動のアイデアを思いついたり、必要な情報などに気づいたりすることができるようになります。

そしてどうやら、この「思い込みが現実を変える可能性」については、実験によっても証明されつつあるようなのです。
思い込みの力に関する3つの心理学的実験
以前当ブログ内でも紹介したことがある、パム・グラウト著 桜田直美訳・『こうして、思考は現実になる2』っと言う本の中に、人間の思い込みの力に関するとても興味深い3つの実験のお話が紹介されています。
この3つの実験のお話を読むと、人間の思い込みがどれほど大きな力を持っているのかと言うことが、とてもよくわかると思います。
「濃厚ミルクシェイク実験(Mind Over Milkshake)」
最初に紹介するお話は、「濃厚ミルクシェイク実験(Mind Over Milkshake)」と言うものです。

2014年4月、アメリカの公共ラジオNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)内で、心理学者であるアリア・クラム博士(Alia Crum)らによって、「Mind Over Milkshake: How Your Thoughts Fool Your Stomach」[マインド・オーバー・ミルクシェイク:思考がいかに胃を騙すか(思い込みが胃を錯覚させる仕組み)」と言う名の実験が紹介されました。

ちなみにこのアリア・クラム博士という方は、長年プラシーボ効果についての研究をされている方だということです。
実験内容
実験内容は次のようなものです。
最初に大量のミルクシェイクを作ります。次にそれを半分ずつ、別々の容器に入れました。(中身はどちらも全く同じミルクシェイク(約300kcal)です。
そして、それぞれの容器には、次のような書かれている文字や数字が違うラベルを貼りました。
一つ目の容器・「低脂肪・低糖・ヘルシーなシェイク」「Sensishake」140kcal
二つ目の容器・「濃厚で高カロリー」Indulgence(贅沢なご褒美シェイク)620kcal

もう一度繰り返しますが、どちらも中身は全く同じのミルクシェイク(約300kcal)です。
つまり、実験参加者が信じた情報だけが違うということになります。
実験前の準備
研究者ははじめに、ミルクシェイクを飲む前と飲んだ後に、 被験者の食欲に関係するホルモンであるグレリン(ghrelin)の数値を測定しました。
グレリンは「食欲増進ホルモン」とも呼ばれ、空腹を感じると消化器管内に分泌され、脳に「食事の時間だよ!」っという合図を送る働きがあるそうです。

そして、もし食べ物にありつけなかった時には、代謝を遅らせるという働きがあります。
グレリンの分泌量は食事をすると減少し、「もうお腹が一杯だから代謝のレベルを上げてね!」という合図を脳や体に送るそうです。
つまり
・グレリンの分泌量が多い→『お腹が空いたから何か食べて!」
・グレリンの分泌量が少ない→『もうお腹いっぱい食べるのをやめて!」
っということになります。
驚きの実験結果
では、実験結果はどうなったのかというと、とても興味深い次のような結果が現れました。
- 自分は「濃厚で高カロリーなシェイクを飲んだ」っと思った人は→グレリンの分泌量が約3倍大きく低下しました。
- 自分は「低カロリーでヘルシーなシェイクを飲んだ」っと思った人は→グレリンの低下は小さいままでした。
もう一度繰り返しますが、どちらも飲んだものは全く同じミルクシェイクです(約300kcal)。

つまり、人間の体は実際のカロリーだけでなく、「自分は何を食べたと思っているのか」っと言うことにも反応したということになります。
う〜ん、とっても不思議ですよね。
この実験が示唆することとは?
アリア・クラム博士はこの実験結果について、決して「思い込みがすべてを決めている」と結論づけているわけではありません。実際の栄養やカロリーももちろん重要であり、さらなる研究が必要だと述べています。

ですがこの研究は、人の期待や思い込みが、生理的な反応にも影響を及ぼす可能性を示す、とても興味深い一例なのではないでしょうか。
一つ目の実験のまとめ
中身は全く同じミルクシェイクなのにも関わらず、自分が飲んだのは「620kcalの濃厚ミルクシェイク」だと信じて飲んだ人のほうが、自分が飲んだのは「140kcalのヘルシーミルクシェイク」だと信じて飲んだ人よりも、満腹感に関わるホルモン(グレリン)の分泌量が大きく変化する。

う〜ん、どうやらラベルは単なる紙切れではないようですね。
そこに書かれている情報は、どうやら私たち自身に思い込みを生み出し、その思い込みが心だけでなく、体の反応にまで影響を与えることがあるようです。
睡眠に関する実験
同じ本の中に、睡眠に関する次のような実験も紹介されています。
この実験は、実験心理学ジャーナル(Journal of Experimental Psychology)誌に載った、睡眠に関する実験報告書」と言うもので、論文名は『Placebo Sleep Affects Cognitive Functioning』(プラセボ睡眠が認知機能に影響を与える)というものです。
実験を行ったのは、Christina Draganich(クリスティーナ・ドラガニッチ) と Kristi Erdal(クリスティ・アーダル)と言う二人の心理学者の方です。
参考文献・Draganich, C., & Erdal, K. (2008). Placebo Sleep Affects Cognitive Functioning. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 34(5), 1073–1077.

この実験も、『思い込みが心だけでなく体の反応にまで影響を与えることがある』っという可能性を示す、とても興味深い実験になっています。
実験の概要
研究者は164人の大学生を対象に、前日の睡眠について次のような実験を行いました
実際には睡眠を詳しく測定していないにもかかわらず、参加者には指先にセンサーを付けてもらい、大学生には「昨夜のREM睡眠(レム睡眠)の割合を測定しました」と説明しました。
ちなみに、レム睡眠の時間が長いほど「よく眠れた」ということになります。

そして無作為に2つのグループへと分け、それぞれのグループの人に対して
- 「あなたのREM睡眠時間は平均より多く、睡眠の質は良かったみたいですね」
- 「あなたのREM睡眠時間は平均より少なく、睡眠の質は悪かったみたいですね」
…っと、実際とは関係ない情報を伝えました。

繰り返しますが、実際には睡眠を詳しく測定はしていません。
実験結果
その後に記憶力や集中力、計算能力などの認知テストを両グループに対して行ったところ、とても興味深い次のような結果が現れました。
- 「よく眠れていましたよ」と伝えられたグループは、成績が良くなりました。
- 「あまり眠れていないみたいですね」と伝えられたグループは、成績が低下しました。

ここで重要なのは、本人が実際にどれだけ眠れたと自分で思っていたかと言うことではなく、「研究者からどう伝えられたのか」が成績を予測したという点です。
この研究が示したこととは
この実験結果から分かることは、「睡眠の質についての思い込み(期待や信念)が、その後の認知能力にも影響を与える可能性がある」っということです。
つまり、
- 「昨日はぐっすり眠れたなぁ」
- 「今日は寝不足だから頭が働かないなぁ」
っという自分に付けるラベルや情報そのものが、実際のパフォーマンスにも影響する可能性があるということです。

この実験は、プラセボ効果(期待による良い影響)やノセボ効果(期待による悪い影響)の一例として、よく紹介されることが多い研究の一つだということです。
ホテルの客室係を対象にした実験
最後にもう一つ、ホテル客室係を対象にした、似たような実験のお話を紹介したいと思います。
このホテル客室係を対象にした有名な心理学実験は、アリア・クラム博士とエレン・ランガー博士による論文『Mind-Set Matters: Exercise and the Placebo Effect(マインドセットは重要―運動とプラセボ効果)』という名前で、Psychological Science(2007年、第18巻第2号、165–171ページ)誌で紹介されました。

実験内容
研究者はホテルの客室係を2つのグループに分けました。
そしてどちらのグループも普段どおり、
- ベッドメイキング
- 掃除機がけ
- バスルーム掃除
- タオル交換
など、毎日同じ仕事を続けてもらいました。
唯一違うのは、それぞれのグループに対して伝えた情報だけです。
研究者は、Aグループに対しては
「客室清掃は十分な運動になりますよ!。」
と説明し、
- ベッドメイキングで何kcal消費するか
- 掃除機で何kcal消費するか
- WHOや運動ガイドラインを満たしていること
などを具体的に伝えました。
つまり、
「あなたは毎日しっかり運動していますよ!。」
という情報を与えたと言うことです。
Bグループに対しては、特に何も説明せず、普段どおり仕事を続けてもらいました。

すると、とても面白い結果が現れました。
結果はどうなったの?
それから約4週間後に二つのグループを測定すると、
Aグループでは
- 体重の減少
- BMIの低下
- 体脂肪率の低下
- ウエスト・ヒップ比の改善
- 血圧の低下
などが見られました。
一方でBグループには、特に大きな変化は見られなかったそうです。

実験を行った研究者はこの結果に対し、「自分は運動している」という認識(マインドセット)が、生理的な変化にも影響を与える可能性がある」と結論づけています。
睡眠実験との共通点とは?
睡眠実験では、
- 「あなたはよく眠れましたよ!」
- 「あなたはあまり眠れていませんね」
という情報が、その後の認知テストの成績に影響を与えました。
ホテルの客室係の実験では、
- 「あなたの仕事は十分な運動ですよ」
という情報が、身体の指標(数値)に影響を与えました。
どちらも共通しているのは、実際の行動はほとんど変わっていないのにも関わらず、「自分はこういう状態だ」という認識や期待が、その後の結果に影響を与えた可能性を示した点です。

これらの実験は、「思い込みだけで必ず身体が変わる」っと言う事を示した訳ではないかもしれませんが、少なくとも、マインドセットが結果に影響を与える可能性を示した、とても興味深い研究(実験)なのだと思います。
終わりに
いかがだったでしょうか。
今回ご紹介した3つの心理学実験を見ると、「人は思い込みや期待によって、心だけでなく、体やパフォーマンスまで変化することがある」という、とても興味深い可能性が見えてきました。
「思い込み」は、人の現実の感じ方や行動を少しずつ変えていく。
- 睡眠の実験では、「よく眠れているよ!」という情報だけで認知能力が変わる可能性が示されました。
- ホテル客室係の実験では、「自分は十分な運動をしているだ!」という認識を持つことで、身体に良い変化が見られました。
- 濃厚ミルクシェイク実験では、同じシェイクでも「高カロリーで濃厚」というラベルだけで、満腹感に関わる体の反応が変化しました。

もちろん、これらの実験結果を以て、「思い込めば何でも現実になる」っと言うことが科学的に証明されたわけではありません。
しかし少なくとも、
「自分は何をやってもダメだ」や「どうせやっても無駄」、「きっと失敗する」といったネガティブな思い込みも、「きっとうまくいく」「私は成長できる」「毎日少しずつ前に進んでいる」といったポジティブな思い込みも、私たちの感じ方や行動が、その先の結果に影響を与える可能性があることは、多くの心理学研究の結果からも示されているそうです。
引き寄せの法則ではよく、現実を変える第一歩は、自分の内面(内側の認識)を変えることだと言われています。

だからこそ、これから毎日少しずつでも、自分にかける言葉を変えてみませんか?
「私は少しずつでも成長(前進)している。」
「自分に必要なタイミングで、自分に必要なことが起こるから大丈夫。」
「きっとすべて上手くいく。」
そんな前向きな思い込みが、あなたの行動や選択を変え、やがて現実にも小さな変化を運んできてくれるかもしれません。
未来を変える最初の一歩は、今日、自分が何を信じるかなのかもしれません。
今回紹介したお話が、皆さんの「思い込み」の力を見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。
もし良かったら、今回紹介した実験のお話や、それ以外の実験なども紹介されている、パム・グラウト著 桜田直美訳・こうして、思考は現実になる2(サンマーク出版)を読んでみてはいかがでしょうか。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
