豆電球が同時に
中略
なんていいお天気だろう!上体を反らして、いつになく暖かい冬の日の明るい青空を見上げながら、サラはこのお天気を味わい愛でました。いつもなら凍りついている道路や歩道は濡れて光っていました。
サラの歩く道の上を水がいくつもの筋になってちょろちょろと流れて、ところどころに小さな水たまりを作っていました。『ぶぅ〜〜ん』ジェイソンとビリーが一緒に叫びました。
自転車でぶつかりそうになるまで一目散に近づいてきて、サラの横をびゅんびゅん走りすぎて行きました。汚い水がサラの足にはねかかってしまいました。
ひどい子たち、まるで怪物だわ!
サラは叫びました。
足から泥水が滴り落ち、サラは怒りで煮えくり返りました。これって全然辻褄が合っていない。この事、ソロモンに聞いてみなくちゃ。
サラの濡れた服は乾いたし、泥の汚れも殆ど洗い落とせたけれど一日の授業が終わる頃になっても、サラはまだ混乱して怒っていました。サラはジェイソンに対して怒っていたのですが、それは何も新しい事ではありませんでした。
でもそれだけではなく、サラはソロモンにも〈共鳴引力の法則〉にも、〈同じ羽毛の鳥達〉にも、意地悪な人々にも怒りを感じていました。実は、サラは殆どみんなに腹を立てていたのです。
いつも通りソロモンは柱にとまって、サラが来るのをじっと待っていました。
今日はいつもより興奮しているみたいだね、サラ、何を話したいの?。
ソロモン!あの共鳴引力って言うのには、何か間違いがあるわ!。
サラはつい口を滑らせてしまいました。ソロモンがそんな事はないと言うだろうと思って、サラはしばらく黙っていました。
先を続けてごらん、サラ。
あのね、ソロモンは、共鳴引力って言うのは、「同じ種類のものはお互いに引きつけ合う」って言うことだって言ったでしょ?でもね、ジェイソンとビリーは本当に悪い子達なのよ、ソロモン。
あの二人は一日の殆どを、他のみんなをどうやって嫌な気分にさせるかと言う事ばかり探そうとしているのよ。
サラは少し間を置きました。ソロモンがサラの言葉をさえぎるに違いないと、今でも思っていたからです。
先を続けてごらん、サラ。
「それでね、ソロモン、私は悪い子じゃないの。つまり、私なら、他のみんなに泥をひっかけたりしないし、自転車で人にぶつかったりしないわ。
私は小さい動物たちを罠にかけたり殺したりしないし、誰かの車のタイヤから空気を抜いたりはしないの。私は小さい動物たちを罠にかけたり殺したりしないし、誰かの車のタイヤから空気を抜いたりはしないの。
だから、どうしてジェイソンとビリーは、私にいつもくっついてくるの?
私たちは「同じ羽毛の鳥達」じゃないわ、ソロモン。私たち、違う種類なのよ!。
ジェイソンとビリーは本当に悪い子達だと思うのかい、サラ。
「うん、そう思う!。
あの二人はいたずらっ子だ。それには賛成するよ、とソロモンは微笑みました。
でも彼らは、宇宙の中の人々や物事のどれと比べても似たりよったりなんだ。彼らも、自分の望んでいるものと、望んでいないものの両方が、ごちゃ混ぜになった生活をしている。
君の弟が何かいいことをしたのに気がついたことはないかい?。
そうね、あると思う。でも、めったにない」サラは口ごもって言いました。
そのことは後で考えてみなくちゃ。でもね、ソロモン、私まだわからないの。
どうしてあの二人はいつも私に嫌がらせばっかりするの?私はあの二人に嫌がらせなんてしないのよ!。
…ここでちょっと一時中断です。
これ皆さんも不思議に思った事ありませんか?。う〜ん、一体なぜこんな事が起こるのでしょうか?。
ここからソロモンが、この仕組みについて分かりやすく教えてくれます
そうだね、サラ、実はこう言う事なんだ。どの瞬間でも、君は、自分の望んでいることに注意を向けるか、望んでいるものが無いと言う事に注意を向けるかを選ぶ事が出来るんだ。
君が望んでいるものに注意を向けている時には、ただそれを見ていると言うだけで、君自身の波動もそれと同じ波動になるんだ。君がそれと同じになるんだ。サラ、この事が理解できるかい?。
悪い人を見ているだけで、私も悪い人になるって言う意味なの?。
いいや、そう言う意味では無いんだ。でも、君は理解し始めているようだ。
君のベッドと同じ位の大きさの光の板を思い浮かべてごらん。
光の板?。
そうだ、サラ。クリスマス・ツリーに飾る小さな豆電球みたいな小さな光が、何千も表面から突き出している板だ。
光の海原だ。何千もの光があって、君はこの光の一つだと考えてごらん
君が何かに注意を向ける時、ただ君がそれに注意を向けていると言うだけで、この板の上の君の豆電球がついて、その豆電球の波動は君が注意を向けている対象と同じ波動になるんだ。
そしてその瞬間、板の上の豆電球の中でその時の君の豆電球の波動と調和する波動を持つ豆電球が全部同時につくんだ。
そして、ついている豆電球全部が、その時の君に取っての「世界」と言う事になる。それが、その時の君の波動で接近出来る人々や経験だ。
考えてごらん、サラ。君が知っている全ての人々の中で、君の弟のジェイソンは、誰を一番いじめている?。
サラはすぐに答えました。
私よ、ソロモン。ジェイソンはいつも私に嫌がらせをしているの!。
そして、君が知っている全ての人々の中で、、ジェイソンにいじめられている事に注意を向けてそれを一番嫌がっているのは誰だと思う?。
あの2人のいたずらっ子と調和する波動の〈光の板の豆電球〉をつけるのは、一体誰だと思う?。
サラは笑いました。やっと分かりはじめたのです。
それは私だわ、ソロモン。私が一番嫌がっている。私はジェイソンを見て、ジェイソンに怒りを感じる事によって、ジェイソンが嫌だと言う波動の〈光の板の豆電球》をつけっぱなしにしているのね。
そう、だからね、サラ、君が嫌いな何かを見て、それに気がついて、それを押し除けようとして、それについて考えている時、君は君の〈光の板の豆電球〉をつけているんだ。
それによって、同じ嫌な事をもっと経験する事になる。ジェイソンが近くにいない時でさえ、君の波動がその波動と同じになっている事がよくあるんだ。ジェイソンが近くにいた時に起こった最近の出来事を君が思い出しているだけで、そうなるんだ。
以上の事の利点は何かと言うとね、サラ、こう言う事なんだ。君がどう感じているかに気づいていれば、君の波動がどんなものと調和する波動になっているかがいつでも分かるんだ。
「それ、どう言う意味?。
君が幸せな時はいつでも、君が味わい愛でる気持ちを感じている時はいつでも、つまり、人々や物事の良い側面に気がついている時はいつでも、君の波動は君が望んでいる事と調和する波動になっていると言う事なんだ。
でも、君が起こっていたり怖がっていたりする時はいつでも、また、君が罪の意識を感じていたり落胆していたりする時はいつでも、その瞬間においては、君の波動は自分が望んでいない事と調和する波動になってしまっているんだ。
どんな時でもいつでもなの、ソロモン?。
そうだ。いつでもだ。君が感じている気持ちと言うものは、いつでも信頼出来るものなんだ。
それは君を導いてくれる仕組みなんだ。この事をよく考えてみるんだ、サラ
これからの数日間、君の周りの人々を観察する時、君が感じる気持ちによく注意してごらん
サラ、君の波動が何と調和する波動になっているのかを、自分で自覚してごらん。
わかった、ソロモン。やってみる。でも、これは結構難しそうだなぁ。沢山練習が必要かもしれない
その通りだ。練習の機会になるような人が、沢山君の周りにいて良かったね。これを楽しんでごらん。
そう言って、ソロモンは高く飛び去って行きました。
ここでまたまた一時中断。
う〜ん、なるほど。望まない出来事や人に対して関心を向けると、そう言う人を引き離すどころか、逆にもっとそう言う人を引き寄せてしまう。
先のイラストで紹介した事例の仕組みとは、実はこう言う事が原因だったんですね。
でも現実に、望まない出来事に遭遇したり、そう言う人が目の前にいたとしたら、そう言う人や出来事に関心を向けずに、良い気分で過ごす事ってかなり難しい気がしますよね…。
では、その場合はどうすればいいのでしょうか?
ソロモン、あなたになら簡単な事だと思うけど、とサラは考えていました。
だって、あなたは誰と一緒に時間を過ごすかを自分で決める事が出来るんだもの。
あなたは、リンやトミーのような子達がいる学校に行かなくていいし、ジェイソンと一緒に暮らさなくてもいいんだもの。
すると、ソロモンがその場にいてサラの耳に向かって喋りかけているかのようにはっきりと、ソロモンの声が聞こえました。
君の幸せが他の誰かがやったりやらなかったりする事にかかっている時、君は罠にはまっているんだ。なぜなら、他の人々が考える事や行う事を、君がコントロールする事は出来ないからさ。
自分の喜びは他人にかかっているのではないと言う事が分かったら、その時には、本当に自由になれるんだ。それは、君が夢見た事のあるどんな途方も無い夢よりも素晴らしい自由だ。
そして、君が喜びを感じられるかどうかは、君自身が何に対して自分の注意を向ける事を選ぶか、と言うことだけにかかっているんだよ。
一つ目のお話はここで終わりです。
う〜ん、皆さん読んでみていかがだったでしょうか?。これって皆さんも思い当たる節がありませんか?。
人は望まない出来事に遭遇すると、そこに強い関心を向けて排除しようとして闘ってしまいますが、実はそれが逆に望まない出来事に力を与える事で、さらに望まない出来事を引き寄せてしまっているだなんて…。
そしてソロモンは、この章でとても大切な事を教えてくれていますよね。それは…
君の幸せは、周りの状況で決まるものなの?
っと言う事です。
ソロモンの大切な教えの一つが、自分が幸せかどうかについては、周囲の状況や他人に関係なく、常に自分自身が何に対して注意を向ける事を選ぶかで決まるんだよっと言う事を教えてくれています。
これを知って少しずつ理解が出来ると、自分にはコントロール出来ない周囲の人々の考えや環境に対しても、無意味に悩まされる事が無くなるのでとてもオススメだと思います。